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■第2回学術大会
  <大会報告> 大会長 高橋 雅典
 

 日本法歯科医学会第2回学術大会は、平成20年5月24日、新歯科医師会館に約250名の参加を得て盛会裏に<br>
終えることが出来ました。
設立大会では、特別講演、教育講演そしてセミナーを口演とポスターの形式で実施いたしましたが、
第2回目となる本大会では、本来の学会形式として演題を募集したところ、DNA解析などの基礎研究、
個人識別におけるX線やCT画像診断の研究と応用例、災害や警察歯科活動と鑑定例の報告、義歯刻印法の実態調査や
デジタルデンタルチャートの作成、医師・歯科医師への行政処分の分析、歯科医療事故や高度齲蝕のある
虐待の剖検例、ユニークなところでは、病理医からみた歯科法医やアルコールの血液凝固機能への影響など、
幅広い分野に亘る演題が口演とポスター合わせて20題出題されました。フロアーでは活発な意見交換がなされ
充実した大会となりました。
  特別講演は、最高検察庁より但木敬一検事総長をお招きし、平成21年5月から発足する裁判員制度に向けて、
「日本人と裁判員制度−来るべき時代の鑑定書のあり方−」という演題でご講演をいただきました。
氏は、日本人にはこの制度は合わないのではないかとの声に対し、裁判員制度は閉ざされてきた司法を
開かれたものとし、国民の意見を反映するためのものである。江戸時代の庶民文化と“お上”を例えの
ひとつとし、昔から高い識字率を有し、潔癖性の日本人は、むしろ司法参加に適した気質・素養をもっている。
さらに、裁判員制度に提出される鑑定書には、判りやすい語句の使用と平易な記載が求められていると述べられ、
その示唆に富んだお話は歯科法医実務に携わる会員に深い感銘を与えました。
  最後に行われた教育シンポジウムは、科警研の吉野会員のオーガナイズにより「形態による人の識別−
顔・骨・歯からのアプローチ−」と題し、国立科学博物館の馬場部長が人類学的特徴から、
科警研の宮坂会員が顔の形態から、日大歯学部の網干会員は歯科的所見からそれぞれ講演を行いました。
個人識別の対象が国際化しつつある時代、会員諸氏の活動に有意義であったと願う次第です。
  学会設立より2年目を迎え、歯科医師のみならず多方面から会員を得ることが出来ました事を
深謝申し上げます。今後とも、会員諸氏のご指導・ご支援をお願いたします。

     
  <プログラム>  
  10:00 開会、大会長挨拶     高橋雅典(東邦大法医)
     
  10:10〜10:50 口演発表1         座長 福井謙二(慈恵医大法医)
   
1.

X染色体上のSTR多型の日本人における出現頻度と個人識別への応用

  中村安孝,鮫島道長,水口 清(東京歯科大学法歯学講座)
2. Real-Time RT-PCR法による体液種識別の検討
  櫻田宏一(科警研),池谷 博(京都府立医大法医),吉野峰生(科警研)
3. 法医診断と病理学 − 病理医の立場から法医学をみる−
  田島義文(明海大学歯学部歯科法医学センター)
4. Digital Superimposition − 報告書に用いる資料の作成 −
  都築民幸,岩原香織,上野麻夫(日本歯科大学生命歯学部歯科法医学センター)
  10:50〜11:20 口演発表2          座長 花岡洋一(東歯大法歯)
   
5.

ミイラ化した死体の個人識別

  溝畑正信,中西正尚(大阪府歯科医師会警察歯科対策推進室)
6. 個人識別におけるX線写真の有用性に関する一考察−北海道警察釧路方面池田警察署管内の事例からー
  大熊一豊(大熊歯科医院、北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系う蝕制御治療学分野),花岡洋一(東京歯科大学法歯学講座),斎藤隆史(北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系う蝕制御治療学分野)
7. 歯のエックス線画像を用いた身元確認支援システムの検討(第2報)
  小菅栄子(群馬県警察検視警察医、神奈川歯科大学放射線学教室)川股亮太(神奈川歯科大学放射線学教室) 鹿島 勇(神奈川歯科大学放射線学教室), 伊藤康一(東北大学大学院情報科研究科),  青木孝文(東北大学大学院情報科研究科)
  11:30〜12:00 口演発表3          座長 山本伊佐夫(神歯大法医)
   
8.

長崎県における19年間の身元確認事例の検討と課題

 

納富一幸,村橋秀夫,今井忠之(長崎県警察嘱託歯科医会)

9. 高度な齲蝕歯が多数みられた小児虐待死亡例
  早川 睦,茂谷久子,矢島大介,武市尚子,咲間彩香,岩瀬博太郎(千葉大法医)
10. インプラント術中の死亡事例から考察された歯科診療関連死に関する諸問題
  佐藤慶太(鶴見大学歯学部法医歯学),中村美穂子(東京大学法医学),勝村聖子(鶴見大学歯学部第二解剖学教室),中島 信(東京大学法医学),吉田謙一(東京大学法医学)
     
  12:00〜12:30 総 会
     
  13:30〜15:00 特別講演           座長 高橋雅典
    「 日本人と裁判員制度 − 来るべき時代の鑑定書のあり方 − 」   検事総長  但木敬一
     
  15:10〜16:00

ポスターセッション − フリーディスカッション −

   
P1. 義歯刻印法の実態調査報告
  安藤嘉明,土田康夫,里見 孝,山本勝一(法医歯科学技工懇話会)
P2. 神奈川県警察歯科医会における警察協力歯科医活動に関して
  羽鳥孝郎,坂本揺子,鈴木雄一,斎藤善司,高橋紀樹(以上神奈川県警察歯科医会)山田良広(神歯大法医) 
P3. 医師・歯科医師に対する行政処分の分析 −1971年〜2008年−
  高橋登世子,小室歳信,網干博文,堤 博文,伊澤 光 (日大歯法医)
P4. アルコールの血液凝固に及ぼす影響
  今林貴代美,松本博志 (札幌医大法医)
P5. 災害時に於ける歯科鑑定活動
  陣田清士(三重県歯科医師会,三重県警察医会)
P6. 三重県警察本部に於ける教養検視専科
  陣田清士(三重県歯科医師会,三重県警察医会)
P7. パソコンを用いた簡易なデンタルチャート作成法
  岡本英彦,林 亨二,堤 正弘,木下善隆,大森基夫,北總征男,杉山茂夫,
中村幸成,浅野薫之,岸田 隆(千葉県歯科医師会災害対策警察歯科委員会)
P8. 3次元再構築ソフトを用いた頭蓋骨CT画像(千葉大CT搭載車による撮影)の応用
  咲間彩香,石井益子(千葉科捜研),早川 睦,茂谷久子,矢島大介,武市尚子,岩瀬博太郎(石井益子以外千葉大)
P9. 法医解剖例の年齢推定に関する一考察
  大谷真紀,千葉 孝,吉岡尚文(秋田大法医)
P10. 刑事事件協力の1事例
 

土持 師(名古屋市大院医口外),横井基夫(名古屋市大院医口外),長尾正崇(広島大院医法医),山田良広(神奈川歯大法医),須賀 均(愛知県歯 愛知県警察歯会)

     
 

16:00〜17:40

教育講演シンポジウム          オーガナイザー 吉野峰生(科警研法科学)
   

「 形態による人の識別  − 顔・骨・歯からのアプローチ − 」 
   1.人類学的特徴から   馬場悠男(国立科学博物館人類研究部長)
   2.顔の形態から     宮坂祥夫(科警研法生物)
   3.歯科所見から     網干博文(日大歯法医) 

     
  17:40 次期大会長挨拶              山田良広(神奈川歯科大法医)
     
   

閉会の辞

     
  18:30〜20:00 懇親会            アルカディア市ヶ谷
     
第2回大会ポスター

大会ポスター(PDF形式)はこちらからダウンロードできます。

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